ビジネスではお客さんから必要とされることが大切です。
そのためには経営者の主観だけに頼るのではなく『お客さんの声』をしっかりと聞くことが大切です。
さて、あなたはお客さんの声を聞いていますか?
そしてそれを有効活用できてしていますか?
・・・・・そもそも、そのお客さん様の声を盲目的に信用して、ビジネスをその方向進めてしまっても良いのでしょうか?
今回はそんな『お客さんの声』についてです。
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お客さんの声に応えようとする姿勢は素晴らしい
チェーン店のようなところで外食をすると、ときどきテーブルごとにハガキのようなものが置いてあります。
見ると
「お客様の声をお聞かせください・・・・」
「ご意見をお聞かせください・・・・」
「店長に直接届きます・・・・・」
など。
お客さんの声を聞き、望んでいるものになるべく応えるお店作りをしようという意気込みが伝わってきます。
また、同時に自分たちの立ち位置からだけで物事を判断するのではなく、お客さんの目線で自社・自店を見るという謙虚な姿勢も感じられます。
このような企業姿勢はすばらしいと感じます。
お客さんの声はウソ??
お客さんの声=お客さんが欲しいもの・望んでいるもの。
だから、お客さんの声に応えれば、おのずと売れていく。
通常はそう考えます。
・・・しかし、本当にそうなのでしょうか?
ある食器メーカーが次なる商品を開発しようと、一番のターゲットである主婦を集めて意見をもらいました。
お客さんの生の声が欲しいわけです。
テーマは『次に買うならどんなお皿が良いですか?』
主婦たちは、日ごろの経験から「あーでもない、こーでもない」と討議をはじめました。
すると『次に買いたいお皿』は今までとは違う黒くて四角いおしゃれなお皿ということに意見がまとまりました。
食器メーカーは、貴重な意見のお礼にとサンプルのお皿から「どれか1枚、お持ち帰りください」と言いました。
すると、全員の主婦たちが持ち帰ったのは『白くて丸いお皿』でした。
・・・・・
理由を聞くと
「4人家族なので、1枚だけ黒いお皿をもらっても困る」
「家にあるお皿の多くは丸いお皿なので、四角いお皿は食器棚に並べずらそう」
と現実的な回答が返ってきました。
これは
お客さんの声→次は今までとは違う、黒くて四角いお皿が欲しい
行動→今まで同じ、白くて丸いお皿を持ち帰る
です。
この場合、『白くて丸いお皿』の方が一般に売れるものと言えるのではないでしょうか?
超高級スポーツカーに憧れる男性は多くいます。
しかし、いざ購入可能になったとしても、家族構成や維持費、用途などを考えて、ファミリータイプの車を買う人は多くいるのが現実です。
お客さんの発する声とニーズは必ずしも同じではない
自動車を発明したヘンリー・フォードはこう言っています。
「私がお客の声に耳を傾け忠実に商売をしていたら、今ごろは車ではなく早く走る馬車を作っていただろう」
お客さんの声を参考に、黒くて四角いお皿を作れば売れたでしょうか?
お客さんの声に応えて、早く走る馬車を作っていたら売れたでしょうか?
お客さんの声と実際のニーズは違うことがあるのです。
経営者はこの顧客心理を理解しなくてはいけません。
お客さんの声は『希望』ではなく『なぜ』が大切
お客さんの声を必ずしも信用できないのであれば、私たちは何をたよりにお客さんのニーズを掴めばよいのでしょうか?
そのカギは、お客さんの『希望』ではなく『なぜ』にあるのです。
つまり、「なぜそう思うのか?」を確認するのです。
「次に購入するなら、黒くて四角いお皿がいいです」
→「なぜですか?」
「おしゃれでかっこいいからです」
→「ではなぜあなたは、現在黒くて四角い皿を使っていないのですか?」
ここに、お客さんの希望だけでなく状況などを含めた本当のニーズが現れるはずです。
例えば「何だかんだで、丸いお皿の方が使い勝手がいい」とか
「おしゃれだけど、使いずらそう」などですね。
お客さんの希望ではなく、実際の状況を含めた生の声を踏まえた上でも、黒くて四角い皿が売れるのか?
しっかり考える必要があるのです。
もちろん
→「ではなぜあなたは、現在黒くて四角い皿を使っていないのですか?」
の投げかけに対して
「使いたいけど他に売っていない」
などの答えであった場合は四角い皿が売れるという判断もあり得ます。
「もっと早い馬車が欲しい」
この場合は簡単です。
→「なぜですか?」
「もっと早く移動したいからです」
「移動時間を短縮したいからです」
ここで、お客さんの目的が明確になります。
この目的が達成されるのであれば、馬車である必要はありません。
そこで、フォードは自動車を作りました。
お客さんの声に応えるだけでは御用聞き
お客さんの声を集め、それに応えていくのは大切です。
お客さんの声の中に、お客さんが求めているもの・要望などが詰まっています。
しかし、お客さんの声に応えるだけではただの御用聞きとも言えます。
お客さんの声を参考に、お客さんの想像以上のものを提供する。
つまり、そのお客さんの声を上手に活用することが大切なのです。
お客さんが、「なぜそれを言っているのか?」
これを掴み、それに応えていくことこそがもっと重要であり、本当のお客様目線といえるのです。
まとめ
お客さんの声に応える。
この姿勢はビジネスをしていくうえでは大切なことです。
しかし、そのお客さんの声の本質がどこにあるのか?
経営者はそれをしっかりと見抜くことが大切なのです。
その結果、「そうそう、これが欲しかった!」という本当の意味での顧客満足になっていくのです。
大切なのはお客さんが何を望んでいるか?
よりも、『なぜ』それを望んでいるのか?
なのです。